「きょう自分は、本当に最善の仕事をしただろうか?」
ある飲み会で隣の席にいた写真館を経営する友人が、ふと漏らした一言でした。
その日は、写真館に訪れた3歳くらいと1歳にもならない子供を連れた家族の撮影だったそうです。
「ではお母さん、ちょっとかがんで赤ちゃんの指を持ってもらえますか。」
とポーズをリクエストすると、お母さんが、
「ごめんなさい、私かがむことができないんです。」との返事。
その言葉に、「あっ」と友人は気付いたそうです。
”そういえば、お母さんはずっと帽子をかぶったまま、そしてお腹のあたりは異様に膨らんでいる、、、
自分の父が癌で他界したときの腹水のたまりかたと同じだ、、、”
幼い子供と最後の家族写真と覚悟しての撮影。
彼は、気づいたことを顔に出さないよう、全力で家族の一番いい表情を残そうと撮影したそうです。
それでも、僕と飲みながら
”写真は人生の一瞬を残す仕事であり、その瞬間は取り返すことができない。今日の自分は、あの家族に対して本当に全力で最善を尽くせただろうか?あの撮影した写真で本当に良かったのだろうか?”と振り返っており、これからも今日の事を忘れずに、一瞬一一瞬を大切に仕事をしていこう、と心を決めていました。
僕のコーチングという仕事は、直接的に他人の人生に関わる仕事だと思っていました。でも、彼の話を聞いていて、どんな仕事でも何らかの形で他人に人生に関わっているはず。そう思って取り組む仕事は、どんな仕事でも尊いものであり、そう考えながら仕事に取り組むことで成長できるのかと思いました。友人からとても大切なことを学ばせてもらいました。