石橋を叩けば渡れない。

石橋を叩けば渡れない。
西堀栄三郎著 生産性出版

日本発の南極越冬隊の隊長を務めた、西堀栄三郎氏の著書を読みました。
タイトルからして積極的なイメージのある本ですが、西堀氏の行動力のすごさには呆れるばかりでした。

議論や会議ではものは進まない。やってみなければわからない。そうした精神と好奇心の塊のような人が、日本にいたことに驚きました。

しかし、西堀氏の探検は一か八かの冒険ではなく、常に予想外のトラブルを考えて準備することが前提となっています。

間違いのない準備はできなくても、出来る限りのことをしておき、それでもトラブルはあるものだと思っておく。そうすれば、いざ予想外の事態が発生してもあわてずにすむ。あわてなければ、考えて対応することができる。

また、チームを率いるリーダーとしての姿勢や考え方も、単純明快でとてもスッキリしています。目的はなにか、目的を明示してメンバーに徹底する。それには議論の余地はない。けれども、その目的実現の手段はメンバーに任せる。どんな手段でもいい、実現することを徹底的に要求する。

極寒の南極で、石油を送るパイプを「氷」で作ってしまうなんて、「常識」に囚われていては絶対にでてこない発想です。そうした一見型破りな発想や行動も、常に「目的」を明確に意識し、実現する強い意志があってこそ生まれるものだと思いました。

いま、僕は石橋を叩いていないだろうか、渡っているだろうか、どっちなのだろう?
ふと考えてしまいました。